コンビネーション製品、組合せ医療機器、キット製品、組合せ医薬品
- 薬機法下の文書では、コンビネーション製品、組合せ医療機器、キット製品、セット品、組合せ医薬品など、初見では違いがわかりにくい製品分類が出てきます。
- 特にコンビネーション製品、組合せ医療機器などは、承認申請プロセスに影響しますので、理解したうえで開発を進める必要があります。
- ここでは、各製品分類について、公的文書における定義を原文のまま示し、その内容を簡潔に解説します。
1. コンビネーション製品
- 定義(原文)「コンビネーション製品とは、医薬品、医療機器又は再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)のうち、二以上の異なる種類の医薬品、医療機器又は再生医療等製品(以下「構成要素」という。)から構成される単一の製品をいう。」
- (出典: 「コンビネーション製品の承認申請における取扱いについて」の一部改正について、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2324&dataType=1&pageNo=1)
- 【解説】 規制上のカテゴリーが異なる製品(例:医薬品と医療機器)を組み合わせて、一つの新しい製品として扱うものです。製品全体の最も重要な機能(主たる作用、PMOA)が何かによって、全体の規制分類が決まります。
- セット製品の定義
- 「セット製品(コンビネーション製品のうち、組み合わせられる薬物等が一体不可分ではなく、それぞれ医薬品、医療機器又は再生医療等製品として独立に流通可能な製品をいう。)」
- https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000146397.pdf
- 定義(原文)「複数の医療機器を組み合わせて一体として使用する目的で、一の医療機器として製造販売業者に包装等された医療機器をいう。」
- (出典:「組合せ医療機器に係る製造販売承認申請、製造販売認証申請及び製造販売届出に係る取扱いについて」p.1「第1 はじめに」、平成21年3月31日 薬食機発第0331002号 厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知、https://www.pmda.go.jp/files/000158673.pdf)
- 【解説】 構成するパーツのすべてが「医療機器」であり、それらをセットで使うことに「臨床上の必要性」がある製品のことです。この通知により、単なる詰め合わせではなく、製造販売業者が明確な意図をもって一つの製品として包装したものであることが定義されました。
- 定義(原文)「「キット製品」とは、有効成分を含有する製剤(以下「主剤」という。)に、その用法及び用量に従い、使用時に溶解、懸濁又は混合等を行うための溶解液、懸濁剤又は他の有効成分を含有する製剤(以下「配合剤」という。)を組み合わせた医薬品をいうものであること。」
- (出典:「キット製品の取扱いについて」、平成16年2月13日 薬食審査発第0213005号 厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知、https://www.pmda.go.jp/files/000155938.pdf)
- 【解説】 使用直前に混ぜ合わせる必要がある複数の医薬品を、一つの製品としてパッケージ化したものです。主に注射剤が対象で、主剤と配合剤を合わせて「一つの医薬品」とみなされます。
- 定義(原文)「組合せ医薬品」は個々に承認された医薬品等を組み合わせたものであり、組み合わせた場合に個々の製品の法定表示を外から見ることが可能なものとする。 」
- (出典:組合せ医薬品等の取扱いについて 平成 9 年 12 月 25 日厚生省医薬安全局監視指導課 事務連絡 https://www.yakujihou.com/content/pdf/10-C2.pdf?utm_medium=cpc&utm_source=yahoo&yclid=YSS.1001245642.EAIaIQobChMIh4vI-sGc-AIVwtGWCh39Bw69EAAYASADEgIDkfD_BwE)
- 【解説】 既にそれぞれが承認を受けている製品を、販売の便宜上、一つの箱に入れた「詰め合わせ品」に関する規定です。製品自体に手を加えるわけではないため、新たな承認は不要とされています。
- 解説
- プレフィルドシリンジのように、医薬品(薬液)と医療機器(注射器)が一体となって機能する製品が典型例です。製品全体の主たる機能が薬理学的な作用であれば「医薬品」として、物理的な作用であれば「医療機器」として、一つの製品として承認申請を行います。
- コンビネーション製品の承認申請における取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について https://www.pmda.go.jp/files/000218548.pdf
- 承認申請における留意点
- 「一製品・一申請」の原則: 複数の構成要素から成りますが、薬事承認申請は単一の製品として、一つの申請で行います。
- 副たる構成要素の情報の記載: 申請資料には、主たる構成要素に加え、副たる構成要素の品質・安全性に関する情報を含める必要があります。
- 相互作用の評価: 異なるカテゴリーの構成要素間の相互作用(例:薬剤と容器の適合性)は、最も重要な評価項目です。
- セット品の「臨床上の必要性」: 構成要素が分離可能なセット品の場合、なぜその組み合わせが必要なのか、臨床上の必要性を申請時に明確に説明することが求められます。
- 解説
- 外科手術で使うメス、鉗子、縫合糸をまとめた「手技キット」のように、構成品すべてが医療機器であり、セットで使うことに臨床的な意義がある製品です。
- https://www.pmda.go.jp/files/000158202.pdf
- 承認申請における留意点
- システムとしての完全性の証明: 申請の中心は、個々の機器の性能だけでなく、全体がシステムとして使用された際の品質、安全性、有効性を証明することです。
- 相互運用性とヒューマンファクター: 複数の機器を接続・操作する際の相互運用性や、誤使用を防ぐためのユーザビリティの評価が極めて重要です。
- 構成医療機器の取扱い: 構成する個々の医療機器が既に承認等を受けている場合、その承認番号等を引用することで申請を簡略化できます。
@K.Kamitani