非医療分野の検査サービスを展開する際の
留意ポイント
非医療分野の消費者向け検査サービスが増えています。以下のスライドで、遺伝子検査サービスを例に、注意すべき点や相談窓口等の紹介を行っています。最終的には、詳しい弁護士に有償で相談することが重要となります。
1. 個人情報の取り扱い
特に遺伝子検査サービスでは、検査結果は「個人識別符号」および「要配慮個人情報」に該当し、個人情報保護法上、最も厳格な保護が求められます。本人の同意なく第三者に提供することは原則として禁止されています。
- 明確な同意取得: どのような目的で情報を取得し、利用し、どこに提供する可能性があるのかを具体的に明示し、明確な形で本人の同意を得る必要があります。
- 安全管理措置: 取得した個人情報(特に遺伝情報)の漏えい、滅失、き損を防ぐため、物理的・技術的に最高水準の安全管理措置を講じる義務があります。
- 透明性の確保: プライバシーポリシーを策定・公開し、情報の取り扱い方針についていつでも利用者が確認できるようにしなければなりません。
経産省の個人情報保護ガイドライン、一般社団法人遺伝情報取扱協会の自主基準などを参照してしっかり対応しましょう。
経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報保護ガイドライン
個人情報保護委員会, 経済産業省
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/gentec_data_guideline/
DTC遺伝子検査サービスの自主基準(改定のお知らせ)
一般社団法人遺伝情報取扱協会
2. 景品表示法
法の概要
商品やサービスの品質、内容、価格などについて、消費者に誤解を与えるような不当な表示(優良誤認表示、有利誤認表示)を禁止する法律です。
注意ポイント
- 科学的根拠の明示: 根拠が不十分なまま「〇〇のリスクが確実にわかる」等の断定的な表示をすると、実際より優れたサービスと誤認させる「優良誤認表示」にあたるため注意が必要です。
- 検査の限界の表示: 「この検査で全てがわかる」等の表示でサービスの限界を伝えないと、消費者に過度な期待を抱かせ「優良誤認表示」と判断されかねないため注意が必要です。
- 他社との比較: 客観的な根拠なく「業界No.1の精度」等の表示をすると、他社サービスより著しく優れていると誤認させる「優良誤認表示」とみなされるため注意が必要です。
3. 医師法
法の概要
医師以外の者が医業(診断・治療など)を行うことを禁止しています。情報提供と医行為である「診断」との境界線を明確にすることが不可欠です。
医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/02/s0203-2g.html
「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)」の送付について
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/gensoku_ikoui.html
注意ポイント
- 「診断」ではないことの明記: 「本検査は診断ではない」等の注意喚起表示が不明瞭だと、サービス全体が医療行為と誤認されかねないため注意が必要です。
- 断定的な表現の回避: 「あなたは〇〇病です」等の断定的な表現をすると、医師のみに許された「診断」とみなされ医師法違反にあたる可能性があるため注意が必要です。
- 具体的な治療の推奨の禁止: 検査結果に基づき特定の医薬品や治療法を推奨すると、診断および治療という「医行為」にあたる可能性があるため注意が必要です。
4. 薬機法
法の概要
医薬品や医療機器などの品質・有効性・安全性を確保するための法律です。検査キットが「診断」を目的とする「医療機器」とみなされると、国の承認等が必要になります。
医療機器とは
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-devices/qa/0016.html
注意ポイント
- 「診断」目的の否定: 製品の目的として特定の疾患の「診断」を掲げると、製品が「医療機器」とみなされ薬機法違反にあたる可能性があるため注意が必要です。
- 予防・治療効果の標榜の禁止: 「がんが予防できる」等の医薬品的な効能効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされ薬機法違反にあたる可能性があるため注意が必要です。
- キットの性能に関する表現: 「高精度がん発見キット」等、キット自体が病気を発見する性能を持つかのような表現をすると、医療機器と誤認させかねないため注意が必要です。
5. 健康増進法
法の概要
食品として販売されるものについて、健康の保持増進の効果などに関して、著しく事実に相違したり、人を誤認させたりする虚偽・誇大な広告を禁止しています。
注意ポイント
- 健康効果の保証の禁止: 検査結果に基づいて「このサプリメントを摂取すれば、あなたの体質なら必ず痩せます」といった、効果を保証するような表示をすると虚偽・誇大広告にあたるため注意が必要です。
- 客観的根拠の必要性: 推奨する食事法や栄養素について、科学的根拠なく「〇〇の効果が約束される」といった表現を用いると、これも「虚偽誇大表示」とみなされかねないため注意が必要です。
6. 食品衛生法・食品表示法
法の概要
飲食に起因する健康上の危害防止は食品衛生法、アレルギーや栄養成分等の表示は食品表示法が関連します。検査サービスに付随して食品等を販売する場合、両方の法律に注意が必要です。
注意ポイント
- 安全性の確保: 法で定められた成分規格や表示基準等を満たさない食品を販売すると、違法な食品販売にあたるため注意が必要です。
- アレルギー表示の徹底: アレルギー表示が不正確だと、消費者に深刻な健康被害を及ぼし食品表示法違反にもあたるため注意が必要です。
- 衛生管理: 製造から輸送までの衛生管理が不十分だと、食中毒等の原因となり事業者としての責任を問われかねないため注意が必要です。
7. グレーゾーン解消制度・新事業特例制度
新しい事業を始めるにあたり、現行の法律や規制の解釈が不明確な場合、事業者が安心して事業活動を行えるように国が設けている制度です。具体的な事業計画を示して照会することで、規制の適用の有無について、あらかじめ担当省庁から公式な回答を得ることができます。
弁護士への相談と並行してこれらの制度を活用することで、規制に関する不確実性を低減させることが期待できます。
弁護士への相談
医療系のビジネスでは、薬機法を中心に様々な法律を遵守する必要があります。一方非医療のビジネスであっても、関連法規則だけでなく、事業の内容によっては、例えば医療系の法規則に抵触しないように気をつけなければなりません。これらを表示の面も含めて網羅的に自社でクリアすることはほぼ無理ですので、この分野に詳しい弁護士に有償で対応を依頼することを推奨します。