医療機器と非医療機器の複合的な一体製品の、医療機器への該当性をどう考えるか?
複数の機能が組み合わさった一体製品の場合、どのように医療機器の該当性を考えればよいかまとめてみました。
<プログラム+プログラムの場合>
<有体物+プログラムの場合>
<有体物+有体物の場合>
<医療機器にしたくない場合>
<シナリオで見るハイブリッド製品の該当性>
<留意点>
<プログラム+プログラムの場合>
- プログラムでは明確に示されており、医療機器としての機能と非医療機器としての機能が複合したプログラムはプログラム医療機器(SaMD)と判断されます。
- 「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」3該当性の基本的考え方(厚労省)https://www.pmda.go.jp/files/000240233.pdf
- 「複数の機能を有するプログラムの医療機器該当性の判断にあたっては、少なくとも1つの機能が医療機器プログラムの定義を満たす場合、全体として医療機器としての流通規制を受けることになります。この場合、医療機器ではない機能が医療機器としての承認又は認証範囲に含まれるような誤認を利用者に与えないように表示、広告等を行うなど、医療機器の定義を満たす機能と医療機器ではない機能との適切な区別に留意すること。」
- ただし、プログラムの場合、クラスI相当は医療機器外となります。
- 「なお、プログラムの医療機器該当性の判断にあたっては、副作用又は機能の障害が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないプログラム(一般医療機器(クラスⅠ医療機器)に相当するもの)は、医療機器の範囲から除かれます。」
- 該当性の照会先:プログラム医療機器該当性の相談窓口は厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課となっています。ガイドラインやSaMD一元的相談窓口HPを確認の上相談してください。https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0011.html
<有体物+プログラムの場合>
- 上述のガイドラインで、このケースも一体製品として医療機器の該当性を判断するとされており、プログラムの場合と同様な判断をすると考えてよいでしょう。つまり、少なくともいずれかが医療機器の定義に該当するのであれば、一体として医療機器に該当すると考えるべきです。
- 「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」2(3)本ガイドラインの対象範囲(厚労省)https://www.pmda.go.jp/files/000240233.pdf
- なお、2(2)では、記録媒体は有体物に含まないと明記しています。これは、元々、SaMDは、プログラム単体又はプログラムを記録した記録媒体という定義なので、あえて有体物を伴うプログラム医療機器も、本ガイドライン、ひいてはSaMD一元的相談窓口での対象となることを明確にしたと考えられます。
- 該当性の照会先:プログラム医療機器該当性の相談窓口は厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課となっています。ガイドラインやSaMD一元的相談窓口HPを確認の上相談してください。
<有体物+有体物の場合>
- では、有体物の医療機器と有体物の非医療機器が複合した一体製品はどうでしょうか。
- 実は明確にこの判断を規定した公的機関の文書は探した限り見当たりませんでした。
- 以下は私の私見です。
- 公的機関による明確なガイドはないものの、基本的には医療機器に該当する可能性が高いと考えています。その根拠は以下です。
- プログラムではあるものの、前述のSaMDの該当性判断が重要な指針となります。
- 「少なくとも1つの機能が医療機器プログラムの定義を満たす場合、全体として医療機器としての流通規制を受けることになります。」
- 有体物の医療機器にもこの考え方を適用することは合理的であり、逆説的に、一つの機能が医療機器であっても、全体として非医療機器とみなしえるかと問えば、それは身体へのリスクを考慮すると考えにくいです。したがって、有体物の医療機器と非医療機器の複合した製品は医療機器に該当する、と考えることが自然と思われます。
- 該当性の照会先:有体物なので、該当性の照会先は、都道府県薬務課になります。
<医療機器にしたくない場合>
- 医療機器の定義と「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」をよく読んで、医療機器と見られる要素を極力排除すべきです。同ガイドラインには、以下のような医療機器に該当しない事例も豊富に記載されており、非常に有用です。
- 健康な人向けの健康増進・管理
- データの単純な記録・表示・転送
- 院内業務支援
- 教育・情報提供
<シナリオで見るハイブリッド製品の該当性>
- シナリオA(非医療機器に留まる可能性が高いケース):
- アプリの機能が、測定器で得られた血糖値データを記録し、時系列グラフで表示する、あるいはそのデータを電子メールで医師に送信する、といったものに限定されている場合。これは「データの単純な記録・表示・転送」の事例に合致します。この場合、アプリは医療機器とは見なされず、測定器本体の医療機器としてのステータスにも影響を与えない可能性が高いです。
- シナリオB(全体が新たな医療機器と見なされる可能性が高いケース):
- アプリが、蓄積された血糖値の変動パターンを独自の機械学習アルゴリズムで分析し、「今後24時間以内の低血糖イベント発生確率」をスコアとして算出・提示する機能を持つ場合。これは単なるデータ表示を超え、「診断(予測)」や「予防」に寄与する新たな医学的情報を提供していると解釈されます。特に、そのアルゴリズムが非公開(ブラックボックス)である場合、「独自のアルゴリズムによるリスク分析」の事例に該当する可能性が極めて高いです。この場合、「一体の製品」原則に基づき、測定器とアプリを合わせたシステム全体が、元の測定器とは異なる新たな医療機器として、改めて承認・認証審査の対象となります。その際、リスククラスも元の測定器より高く設定される可能性があります。
<留意点>
- 医療機器として使える機能を持っていたとしても、医療機器としての使用目的を意図したものではない場合は、状況が大きく変わる可能性があります。医療機器該当性判断の重要な点は、使用目的にあるためです。
- 一体不可分ではなく、複数の医療機器を単に組み合わせた場合は、組み合わせ医療機器に該当する可能性があります。この場合は通常と別の薬事承認申請プロセスとなります。組み合わせ医療機器について触れたコンテンツがあるので、そちらも参照してください。