製薬企業等へのシーズ紹介
スタートアップが自社の製品や技術を売り込む際には、製薬メーカー等の事業開発部門が窓口になります。ここでは製薬業界に焦点を当ててみていきます。
©K.Kamitani
- 事業開発部門
- 製薬業界では、ライセンシング業務についてはシステム化されており、ほとんどの企業で担当部署・担当者が存在します。これは、元々グローバルファーマが採用していた仕組みですが、今では国内企業も追従しています。
- 部署名は、以前は渉外、ライセンシング、事業開発などが多かったですが、最近はオープンイノベーションなどが流行りのようです。ここではまとめて事業開発部門としておきます。
- 企業によっては、アーリーフェーズのものと比較的レートなもので担当部署が異なることもありますが、社内で情報は共有されています。
- 日本の医療機器メーカーでも担当部署を設置しているところもありますが、大手に限られ、また製薬メーカーほど充実はしていません。
- ニーズの探し方
- 大きく分けて2つありますが、一つは各企業の該当HP、もう一つは公的機関等が掲載しているニーズ情報ページです。製薬メーカーのニーズ情報を掲載している主な公的機関は以下となります。
- 製薬協
- JBA
- 企業からの研究・開発提携等の募集情報
- https://www.jba.or.jp/activity/open_innov/jbamember_directory/alliance/
- AMED
- シーズ・ニーズマッチング推進ページ
- https://www.amed.go.jp/program/list/11/01/seeds-needs_list.html
- 各企業
- 各社のオープンイノベーションなどのページを参照ください。また、ほとんどの製薬企業はニーズリスト(wish listといいます)を持っているので、事業開発担当者に問い合わせてもいいでしょう。
- また、製薬メーカーのニーズをまとめて掲載している民間企業のHPなどもあるので必要に応じて活用しましょう。
- 所属がアカデミアの場合、渉外は産学連携部門が窓口になります。製薬メーカーのwish listを既に持っている場合が多く、学内のHP等で公開している場合もあります。積極的に活用しましょう。
- 大きく分けて2つありますが、一つは各企業の該当HP、もう一つは公的機関等が掲載しているニーズ情報ページです。製薬メーカーのニーズ情報を掲載している主な公的機関は以下となります。
- アプローチ
- Bio Japan等、ネットワーキングイベントに参加する
- 最も効率的なのは、Bio Japan です。
- その際、有料になりますがパートナリングシステムを使うことを強くお勧めします。このシステムを使うことで、多くの企業とのミーティングを組むことが可能になります。
- 個別にアプローチ
- 各企業のHPなどから問い合わせすることも可能です。
- Bio Japan等、ネットワーキングイベントに参加する
- 基本的な流れ
- 先方のニーズを確認したうえで、Bio Japanなどのイベントやメールなどで、事業開発部門にコンタクトします。
- 最初は、ノンコンフィデンシャル資料を渡してレビューしてもらいます。
- 事業開発部門は、シーズの内容を見て、重点開発領域に合うかどうか確認します。合わないシーズはその場で脱落します。合う場合は、社内の関連部署に興味確認を行います。
- 先方が興味を持てば、いくつか問い合わせがあったり、通常面談依頼が来ます。
- 面談後、さらに詳細を知りたいとなれば、秘密保持契約締結の打診があります。
- 秘密保持契約締結後、数回のレビューを経て、提携の意欲があれば、製薬企業は、デューデリジェンス(DD)を行います。
- 製薬企業の社内外のDD専門チームがDDの結果、特に問題なければ本契約となります。
- よくある疑問・誤解
- 「R&D部門に直接売り込んだほうがよいのでは?」
- あまりお勧めしません。
- ライセンス導入対象領域は、会社の経営戦略と密接にリンクしています。窓口である事業開発部門はそれを熟知していますが、R&D部門は必ずしもそうではありません。担当者によっては重点領域から外れる研究に携わっている可能性もあります。そもそも、バイオジャパンのようなネットワーキングイベントに参加する事業開発部門の人は、会社で参加を承認されているわけですので、彼らを介して製品や技術を紹介することが正攻法となります。
- 「秘密保持契約を結んでから詳細は話せばいい」
- 製薬企業の場合、ノンコンレベルでかなり間引きます(企業によっては7割程度却下)。「秘密保持契約を結んでから具体的なことは話そう」と悠長に構えていると次のステップに行けません。極秘事項はもちろん入れる必要はありませんが、資料は十分に作りこんでおく必要があります。
- 「グローバルファーマの場合、海外本社に紹介したほうがよいのでは?」
- 原則日本法人の事業開発担当者が窓口になります。
- ほとんどのグローバルファーマは、既に日本法人があり、日本の事業開発担当者が存在します。
- 大きな企業では、事業開発担当者が担当する地域エリアが決まっており、ほとんどの場合、日本から出てくるシーズに関しては、日本の事業開発が担当することになります。
- 同様に、欧州発のシーズは欧州の事業開発担当者、米国発のシーズは米国の事業開発担当者が担当となります。
- いずれにしても、シーズ情報については、企業内の事業開発担当者間で共有されるので、窓口による差はほとんどないと言ってよいでしょう。
- 「一度却下されたが、別の機会にまた提案できるか?」
- ケースバイケースですが、一度明確に興味なしとして却下された場合は可能性は低くなります。
- ノンコン資料を提供したあとの製薬企業からの反応は、大きく下記の3つになります。
- 興味があるので、一度説明してほしい
- 興味はあるが、進捗してからまたコンタクトしてほしい
- 興味ないので、これ以上の評価は行わない
- 1は文字通りよい反応で、オンラインもしくは対面で1時間程度の製品・技術紹介の機会が与えられます。
- 2のケースは、戦略領域に合致しており興味はあるものの、POCが不十分などの理由で、ポジティブなデータが揃ってから評価したいというものです。
- 3は、そもそも戦略領域にも合致していなかったり、シーズが弱いという判断で却下するケースです。
- したがって、3の反応の場合はほぼノーチャンスで、2の場合は、良いデータが出れば再挑戦可能と考えるとよいでしょう。
- そのため、企業にコンタクト始める際は、時系列かつ企業ごとに、上記のような企業の反応を個別にメモしていくことをお勧めします。
- また、企業からのフィードバックも必ずメモしておきましょう。ネガティブなフィードバックでも精査した上で、資料や活動を常に改善していきましょう。
- この一連の作業は、資金調達目的でVCにコンタクトする際も同様に有効です。
- 「R&D部門に直接売り込んだほうがよいのでは?」
©K.Kamitani