医療機器の一般的名称(JMDN)と確認方法
開発した医療機器が、どの「一般的名称(JMDN)」に当たるかを特定するための進め方を整理します。一般的名称は、医療機器を機能・使用目的ごとに分類した名称で、薬事手続きの出発点となる情報です。一般的名称が決まれば、その機器のクラス分類や薬事申請上の手順(承認・認証・届出)が見えてきます。
目次(Contents)
1. 一般的名称(JMDN)とは
一般的名称(JMDN:Japanese Medical Device Nomenclature)とは、医療機器を品目ごとに分類し、それぞれに付けられた名称のことです。製品が持つ機能や使用目的に基づいて定義され、医療機器ごとに「どの一般的名称に該当するか」が決まります。
一般的名称は、薬事手続きの出発点となる重要な情報です。一般的名称が特定できると、次のことが芋づる式に明らかになります。
- クラス分類(I〜IV):一般的名称ごとにリスクに応じたクラスが定められています。
- 薬事手続きの種別:クラスに応じて、届出・認証・承認のいずれが必要かが決まります。
- 認証基準の有無:認証対象の品目では、適合すべき認証基準が定められている場合があります。
逆に言えば、一般的名称が定まらないと、自社製品にどの規制・手続きが適用されるかが見えてきません。そのため、開発の早い段階で「どの一般的名称に当たるか」のあたりをつけておくことが、薬事戦略の土台になります。なお、既存の一般的名称のどれにも当てはまらない場合は、新医療機器・改良医療機器として扱われる可能性が高くなります(詳しくは下記フロー)。
→ クラス分類の詳細は 医療機器のクラス分類
2. 医療機器該当性の確認
一般的名称を特定する前提として、開発品が医療機器に該当するかを確認します。該当性の判断方法(定義からの確認、類似品の確認、SaMD(プログラム医療機器)の場合の確認など)は、専用ページで詳しく解説しています。
該当性の確認手順・参照通知の詳細は、こちらをご覧ください。
→ 医療機器と非医療機器の機能が複合する製品は 医療機器と非医療機器の機能が複合した製品は?
3. 一般的名称(JMDN)の確認フロー
医療機器に該当すると判断したら、次に「どの一般的名称に当たるか」を特定します。①自分であたりをつける → ②PMDAに最終確認の順で整理しましょう。
① 自分であたりをつける
①-1 類似品の一般的名称を確認する
類似する製品がすでに市場にある場合、その製品が医療機器としてどの一般的名称で扱われているかを確認します。添付文書等には一般的名称が記載されているため、当たりをつける有力な手がかりになります。
- 検索サイト:医療機器 添付文書等情報検索(PMDA)
①-2 データベースで検索する
PMDAが提供するデータベースで、キーワード検索や一般的名称リストから該当しそうなものを探します。
- 検索サイト:一般的名称データベース(JMDN)(PMDA)
- TIPS:キーワード検索は使いにくいので、一般的名称リストをダウンロードして、定義を確認することがポイントです。
TIPS:使用目的で一般的名称が変わる
一般的名称の定義には、通常「使用目的」に相当する文言が含まれています。製品の機能自体はほぼ同じでも、使用目的が異なると既存の一般的名称に該当せず、一般的名称の新設および新医療機器としての承認申請プロセスを経なければならなくなるケースもあるので留意しましょう。以下に、機能や定義が似た例を載せておきます。
- 「歯科矯正用治療支援プログラム」の定義:歯科矯正治療において、画像診断装置等から得られた情報を基に、歯科矯正の診断補助や治療計画の策定を支援する医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。
- 「歯科根管用治療支援プログラム」の定義:歯科根管治療において、画像診断装置等から得られた情報を基に、治療計画の策定を支援する医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。(*後から一般的名称が新設された)
定義に合う一般的名称が見つからない場合
既存の一般的名称に合致するものがない場合、その製品に類するものはまだ世の中に出ておらず、分類である一般的名称が設定されていない可能性があります。この場合、「新医療機器」または「改良医療機器」として、PMDAによる「承認」が必要となる可能性が高くなります。一般的名称(クラス分類を含む)は、承認プロセスとなる場合、最終的には承認審査の過程で厚生労働省も入って検討し決定されます。開発中や申請前の段階で、その時点でのPMDAの考えを確認することは可能ですので、まずは全般相談またはRS総合相談に申し込んでください。
→ RS相談の臨み方は PMDA RS相談活用のススメ
② PMDAに最終確認
あたりをつけたら、最終確認はPMDAに行います。まずは製品概要をまとめ、無料の「全般相談」へ申し込むのがよいでしょう。
- 相談窓口:PMDA全般相談(PMDA)
- 医療機器の薬事申請に関する相談窓口の振り分け資料(PMDA)
③ その他(認証基準・SaMDの場合)
認証基準が定められている場合
認証基準が定められている一般的名称に該当すると思われる場合は、登録認証機関(第三者認証機関)に相談し、認証基準への該当性と合わせて、その一般的名称に該当するかも確認するとよいでしょう。PMDAが示す振り分けでも、「認証基準への該当性を確認したい」場合は登録認証機関が窓口とされています(認証機関で回答が難しい事例はPMDAへ相談可能)。
- 認証機関一覧:登録認証機関の一覧(厚生労働省)
- 医療機器の薬事申請に関する相談窓口の振り分け資料(PMDA)
SaMD(プログラム医療機器)の場合
SaMDに該当する場合は、PMDAのSaMD一元的相談窓口を活用できます。認証基準の場合と同様に、SaMDへの該当性と合わせて、想定する一般的名称に該当するかも確認してみるとよいでしょう。
- 相談窓口:SaMD一元的相談窓口について(PMDA)
- 参照:プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(PMDA)
☕ プログラム医療機器? 医療機器プログラム?
「プログラム医療機器の薬事開発・承認申請に関する手引き」のQ3でPMDAが説明しています。興味があればご参考まで。SaMDは医療機器プログラムとなります。
4. 類似製品との比較
既存の一般的名称への該当性を確認する際は、比較表を作成してください。自身での確認用としてだけでなく、当局への確認時や製造販売承認申請時にも必要となります。比較表のひな型は明示されていませんが、以下の通知が参考になります。
- 医療機器の製造販売承認申請書添付資料の作成に際し留意すべき事項について(薬食機参発0120第9号, 厚生労働省) 1.3 類似医療機器との比較
- 医療機器プログラムの製造販売認証申請書添付資料の記載事例(厚生労働省) 3.4 類似医療機器との比較
TIPS:差分を明らかにする
重要なのは、本品と類似製品を比較して差分を明らかにする作業です。差分がなければ既存一般的名称に合致し後発医療機器となり、差分があれば内容や程度によって変わりますが、改良医療機器または新医療機器となる可能性が高くなります。この差分を明らかにする比較の考え方・表現方法は、保険収載でも活用できます。
→ 保険収載での活用は 医療機器・体外診の保険収載ガイド
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5. 相談前に整理しておきたい情報
当局や認証機関への相談の際は、事前に以下のような情報を、イラストや図も使いながら十分整理したうえで臨むことをお勧めします。
- 製品の名称および概要:製品が何で、どのような機能を持つか。
- 使用目的および対象者:誰が、どのような状況で、何を目的として使うのか。
- 作動原理・アルゴリズム:どのように機能するかの技術的な説明。
- 入出力情報:どのような情報を入力し、どのような情報を出力するのか。
- 類似製品、海外の情報:国内外で既に承認されている製品の有無とその分類情報。
- 広告・販促資料(案):ウェブサイトのモックアップやパンフレット案など、想定される表示・広告の内容。
6. 留意点
万一、非医療機器だと判断していたものが医療機器に該当した場合や、既存の一般的名称に合致すると思っていたものが新医療機器と判断された場合、臨床データの取り直しなど、開発プロセスに大きな手戻りが生じるリスクがあります。自身で詳細に調査し、一般的名称への該当性のロジックを構築したうえで、できる限り早い段階で規制当局に確認することをお勧めします。なお、医療機器に「該当するか否か」の一義的な相談先は各都道府県の薬務課です(一般的名称・クラス分類・評価項目はPMDAが窓口)。
7. 参考資料(Reference materials)
- 一般的名称データベース(JMDN)(PMDA)
- 医療機器 添付文書等情報検索(PMDA)
- プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(PMDA, 000240233.pdf)
- 医療機器の製造販売承認申請書添付資料の作成に際し留意すべき事項について(薬食機参発0120第9号, 厚生労働省)
- 医療機器プログラムの製造販売認証申請書添付資料の記載事例(厚生労働省)
- 登録認証機関の一覧(厚生労働省)
- PMDA全般相談(PMDA)
- RS総合相談(PMDA)
- SaMD一元的相談窓口について(PMDA)
- プログラム医療機器の薬事開発・承認申請に関する手引き(PMDA, 000274829.pdf)
- 医療機器の薬事申請に関する相談窓口の振り分け資料(PMDA, 000273968.pdf)
8. 関連JPROページ(Related JPRO Pages)
該当性・分類を確認する
相談先
次のステップ

