一般用医薬品(OTC)
OTCの場合、基本的には医療用医薬品として臨床的に十分な安全性が確認されたものが該当します。そのため、スタートアップにはほとんど関係はないのですが、参考までにご覧ください。
OTCの定義
OTCの区分(分類)
要指導医薬品と一般用医薬品(OTC)は、副作用などのリスクの程度に応じて以下のように分類されています。リスクが高い順に「要指導医薬品」→「第1類」→「(指定)第2類」→「第2類」→「第3類」となります。
申請方法
スイッチOTC
ダイレクトOTC
スイッチOTCとダイレクトOTCの難しさ
セルフメディケーション税制
OTC医薬品に関連する制度として「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」があります。これは、健康の維持増進や疾病の予防への取り組み(健康診断や予防接種など)を行う個人が、対象となるスイッチOTC医薬品(2022年からは一部の風邪薬や腰痛薬なども対象)を年間で1万2千円を超えて購入した場合に、その超えた金額(上限8万8千円)について所得控除を受けられる制度です。
参照資料リスト
©K.Kamitani
OTCの定義
- 一般用医薬品(OTC:Over The Counter)とは、医師の処方せんによらずに薬局・薬店などで直接購入できる医薬品を指します。OTCは「Over The Counter(カウンター越し)」の略で、薬局のカウンター越しに買える薬という意味があります。
- これらは、一般の人が自らの判断で使用することを前提としており、有効性に加えて特に安全性の確保が重視されています。
- 現在、薬局などで購入できる非処方箋医薬品には「要指導医薬品」と「一般用医薬品」の2種類があり、これらを総称してOTC医薬品と呼びます。
- 健康食品やサプリメントは法律上「食品」に分類されますが、OTC医薬品はつらい症状の緩和や治療を目的とした「医薬品」に分類されます。
OTCの区分(分類)
要指導医薬品と一般用医薬品(OTC)は、副作用などのリスクの程度に応じて以下のように分類されています。リスクが高い順に「要指導医薬品」→「第1類」→「(指定)第2類」→「第2類」→「第3類」となります。
- 要指導医薬品
- 概要: スイッチOTCやダイレクトOTCのうち、市販後の調査期間(安全性の確認期間)が終了していない医薬品です。
- 販売ルール: 薬剤師による対面での書面を用いた情報提供・指導が義務付けられています
- 陳列: 購入者が直接手に取れない場所に陳列する必要があります。
- 一般用医薬品(OTC)
- 第1類医薬品: 副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(例:一部の胃腸薬(H2ブロッカー)、一部の育毛剤(ミノキシジル含有))。
- 販売ルール: 薬剤師による情報提供が義務付けられています。
- 陳列: 要指導医薬品と同様、購入者が直接手に取れない場所に陳列する必要があります。
- 第2類医薬品: まれに日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(例:主な風邪薬、解熱鎮痛剤)。薬剤師または登録販売者による情報提供が「努力義務」とされています。
- 指定第2類医薬品: 第2類のうち、依存性がある成分や、高齢者・小児などが使用する際に特に注意が必要なものです。
- 第3類医薬品: 上記以外で、比較的リスクが低い医薬品(例:ビタミン剤、整腸剤)。薬剤師または登録販売者による情報提供の法的義務はありません。
- 第1類医薬品: 副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(例:一部の胃腸薬(H2ブロッカー)、一部の育毛剤(ミノキシジル含有))。
申請方法
- 企業が一般用医薬品や要指導医薬品を製造販売するためには、厚生労働大臣の承認が必要です。申請から承認までの一般的な流れは以下の通りですが、申請の前段階でPMDAに相談する制度も設けられています。
- 1. 開発・申請前の相談(簡易相談):
- 企業は、開発の初期段階や申請前の軽微な事項について、PMDAの「簡易相談」を利用することができます。これは一般用医薬品・要指導医薬品、医薬部外品等を対象とした相談窓口であり、申請を円滑に進めるために活用されます。
- 2. 承認申請:
- 企業が、医薬品の品質、有効性、安全性に関する資料(試験データなど)を添えて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に承認申請を行います。
- 3. 信頼性調査・審査:
- PMDAが、提出された申請データと原資料との照合(信頼性調査)や、製品の効果、副作用、品質について審査(承認審査)を行います。
- 4. 製造所調査:
- 申請された製品を適切に製造できる能力(GMP/QMSなど)を有するかどうかの調査も行われます。
- 5. 承認:
- PMDAの審査結果に基づき、薬事・食品衛生審議会での審議を経て、厚生労働大臣が承認します。
スイッチOTC
- スイッチOTCとは、従来は医師の処方せんが必要だった「医療用医薬品」の有効成分を、一般用医薬品(OTC)として使用できるように転用(スイッチ)した医薬品のことです。
- 特徴: 医療用としての十分な使用実績と安全性が確認された成分が対象となります。
- 具体例: 花粉症に使用される第2世代抗ヒスタミン薬などがあります。
- 承認後の流れ: 承認後はまず「要指導医薬品」に分類され、一定期間の市販後調査を経て、問題がなければ一般用医薬品(第1類など)へ移行します。
- 注意点: スイッチOTCは、医療用医薬品と全く同じ効能・効果で承認されるとは限りません。例えば、医療用では皮膚疾患にも適応がある成分が、OTCでは「花粉やハウスダストに対するアレルギー鼻炎」にのみ適応が限定される場合があります。
ダイレクトOTC
- ダイレクトOTCとは、医療用医薬品としての使用経験を経ずに、最初から一般用医薬品(OTC)として承認された医薬品を指します。
- 特徴: 海外でOTCとして豊富な使用実績がある成分など、セルフメディケーションのニーズに応じて承認される場合があります。
- 具体例: 発毛効果を持つ「ミノキシジル」などがあります。
- 承認後の流れ: スイッチOTCと同様、承認後はまず「要指導医薬品」に分類され、安全性の確認が行われます。
スイッチOTCとダイレクトOTCの難しさ
- OTCは医療用医薬品よりも簡単に承認が得られると勘違いしている方もいますが、これは大きな間違いです。
- スイッチOTCとして有名なものに、ロキソプロフェンナトリウム水和物やファモチジンなどがありますが、いずれも15年以上の医療用医薬品としての実績があります。OTC化にあたっては、臨床試験や市販後調査を経て、特に十分な安全性が担保できると確認できたものだけがOTCになるのです。
- ダイレクトOTCではさらに厳しくなります。発毛剤のミノキシジルが有名ですが、国内では医療用医薬品としての承認実績はありませんでしたが、米国等では「ロゲイン」としてOTCおよび医療用として長年の使用実績がありました。また、新薬に匹敵するような臨床試験を行って、開発着手から承認まで実に10年以上を要しました。
セルフメディケーション税制
OTC医薬品に関連する制度として「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」があります。これは、健康の維持増進や疾病の予防への取り組み(健康診断や予防接種など)を行う個人が、対象となるスイッチOTC医薬品(2022年からは一部の風邪薬や腰痛薬なども対象)を年間で1万2千円を超えて購入した場合に、その超えた金額(上限8万8千円)について所得控除を受けられる制度です。
参照資料リスト
- 一般用医薬品・要指導医薬品(承認審査業務)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/otc/0002.html
- 医療用医薬品と一般用医薬品の比較について、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/09/s0906-6c.html
- 承認審査業務(申請・審査等)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/0001.html
- 医薬品の基礎研究から承認審査、市販後までの主なプロセス、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/dl/shisetu_gaiyou.pdf
- 簡単に確定申告ができる セルフメディケーション税制、日本一般用医薬品連合会、https://www.jfsmi.jp/lp/tax/
©K.Kamitani