PMDA RS相談活用のススメ
RS相談(レギュラトリーサイエンス相談)は、医薬品・医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の開発初期にいるアカデミアやスタートアップが、PMDA(医薬品医療機器総合機構)に直接相談できる専用窓口です。本ページでは、無料で使える総合相談・事前面談から、公式な「相談記録」が残る有料の対面助言までの全体像、対象となる大学・研究機関やベンチャー企業の手数料が大きく下がる「低額要件」の概要、そして公式資料では語られにくい相談を成功させるための実務的な心構えまでを、概要として整理しました。手数料・要件・申込様式などの正確な詳細は改定されるため、必ず各節のPMDA公式ページで最新情報をご確認ください。
1. RS相談とは
RS相談は、シーズの候補選定の最終段階から臨床開発初期(POC=概念実証の段階)までの、開発の早い時期にいるアカデミア・スタートアップが利用しやすいように設けられた相談窓口です。承認申請に近い段階の治験相談等とは目的・対象が異なります。
主な意義は次の3点です。
- 開発の早い段階で規制当局と論点をすり合わせ、科学的妥当性と規制上の要求事項の整合を確認できる(手戻りの低減)。
- 無料の相談(総合相談・事前面談)から始められ、有料の対面助言も対象組織には「低額要件」がある(第3節)。
- 対面助言の結果は公式な「相談記録」として文書化され、社内の意思決定・資金調達・提携交渉の裏づけになる。
参考(PMDA公式):
2. 相談の3ステップ
RS相談は、無料の2ステップで論点と資料を磨き、有料の対面助言で公式見解を得る流れです。
- RS総合相談(無料):開発の全体像の把握や、公式相談に進む段階かの確認に使う非公式な入口。記録は作成されません。
- 事前面談(無料):対面助言で議論する論点を絞り込み、提出資料の妥当性を確認する必須ステップ。
- 対面助言(有料):提出データに基づき品質・非臨床・治験計画等の具体的な指導・助言を得る核心の対話。成果物として公式な「相談記録」が作成されます。
参考(PMDA公式):
- RS総合相談:https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0006.html
- 事前面談:https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0008.html
- 対面助言(RS戦略相談):https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0005.html
3. 手数料と低額要件(概要)
RS総合相談と事前面談は無料です。対面助言は有料ですが、一定の要件を満たす大学・研究機関とベンチャー企業には、手数料が大きく下がる「低額要件」が設けられています。
- 低額要件が適用される相談区分では、手数料が概ね10分の1になります(例:医薬品の戦略相談など)。
- ただし、すべての区分が一律で下がるわけではありません。一般的な進め方を扱う「開発計画等戦略相談」や「追加相談」には低額設定がありません。
- 低額要件の対象は、大きく「大学・研究機関」と「ベンチャー企業」の2系統です。判定には、受けている国の研究費の額や、中小企業の規模・出資状況などの要件があり、所定の書類提出が必要です。
具体的な金額・要件・必要書類・申請様式は改定されるため、最新の正確な情報はPMDA公式ページでご確認ください(手数料・低額要件はいずれも下記の対面助言ページに記載)。
参考(PMDA公式):
- 対面助言(手数料・低額要件・必要書類):https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0005.html
- 審査等手数料・対面助言等の手数料について:https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/user-fees/0001.html
4. 相談を成功に導く戦略的アプローチ
PMDA相談は、アイデアを壁打ちする場ではありません。自社の計画の妥当性を確認し、公式な見解を得るための戦略的な対話です。以下の心構えで臨むことが成功の鍵となります。
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「仮説」と「根拠」を準備する
PMDAは答えを教える場ではなく、相談者が提示した計画(仮説)と科学的根拠が規制上許容できるかを判断する場です。「我々はこのように進めたい」という明確な計画と、それを裏づけるデータやロジックを必ず提示してください。 -
「論点」を具体的に絞り込む
「この試験で良いか?」という漠然とした質問はNGです。「この非臨床データに基づき、我々が提案するこのプロトコルでの第一相臨床試験の開始は適切か?」のように、背景・データ・提案・質問をセットで提示することが重要です。 -
包括的な「資料パッケージ」を作り込む
相談の質は、提出資料の質に正比例します。製品概要、全データ要約、開発計画、そして相談したい論点を網羅した、自己完結した質の高い資料パッケージの作成が、相談成功の条件です。 -
最終成果物=「公式な相談記録」を意識する
対面助言のゴールは、議論の内容が文書化された「相談記録」を得ることです。これは後の承認申請、資金調達、提携交渉で極めて重要な資産となります。「記録に残す価値のある合意」を形成することに集中してください。
質の高い資料パッケージや論点整理は、薬事の実務経験者の支えがあると精度が上がります。社内に薬事人材がいない場合の考え方は薬事スタッフ・コンサル選定ガイド、開発全般で参照したい公的資料は医薬品、医療機器等の開発に当たって参照したい資料が参考になります。
5. 申込みの流れ(概要)
各相談の申込みから完了までの大まかな流れです。様式のダウンロード先・提出先・受付時期などの詳細は改定されるため、PMDA公式の対面助言ページを一次情報としてご確認ください。
- RS総合相談:PMDAサイトから質問申込書をダウンロードし、開発の方向性に関する質問を記入して提出。後日、日程が調整されます。
- 事前面談:事前面談の質問申込書に、対面助言で聞きたい論点を具体的に記入して提出。面談で最終的な質問事項と必要資料を確認します。
- 対面助言:包括的な資料パッケージを作成し、日程調整依頼書・対面助言申込書等を提出。低額要件を申請する場合は所定の申請書類を同時に提出します。案内に従い手数料を振り込み、資料を搬入します。
- 資料の提出方法は、CD/DVD等の電子媒体(郵送・持参)のほか、申請電子データシステム(ゲートウェイシステム)によるオンライン提出も可能です。
- 相談後、PMDAが作成する「相談記録」の草案を確認し、内容を確定させます(これが最終成果物です)。
参考(PMDA公式):
- 対面助言(様式・提出先・スケジュール):https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0005.html
- 対面助言実施予定(RS戦略相談):https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0007.html
6. 参考資料(一次情報)
本文各節でも該当箇所にURLを示していますが、一覧として再掲します。いずれもPMDA公式(日本語)です。手数料・要件・様式は改定されうるため、利用時に最新をご確認ください。
- RS総合相談・RS戦略相談の全体像(PMDA), https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0003.html
- RS総合相談(PMDA), https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0006.html
- 事前面談(PMDA), https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0008.html
- 対面助言(RS戦略相談):手数料・低額要件・必要書類・様式(PMDA), https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0005.html
- 対面助言実施予定(RS戦略相談)(PMDA), https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0007.html
- 審査等手数料・対面助言等の手数料について(PMDA), https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/user-fees/0001.html
7. 関連JPROページ
あわせて確認すると役立つJPROのページです。
支援制度・相談先を俯瞰する
- 公的支援機関リスト
- MEDISO活用のススメ(厚労省委託の無料相談。PMDAとは別組織です)
- 大学発スタートアップ支援機関・プログラムガイド
相談前の製品区分・規制の確認
資料準備・体制づくり
開発の選択肢・海外(参考)
- 簡略審査(審査の迅速化)
- 米国における、医療機器の申請データ・試験計画の相談方法(Pre-Submission/Q-Submission)(PMDA相談の米国版にあたる仕組み)