治療用装具と補装具
治療用装具と補装具は、どちらも身体機能を補助・サポートするものですが、その目的、根拠となる法律、利用方法、そしてメーカーが製品を公的制度の対象とするための手続きが大きく異なります。また、診療報酬制度による医療機器の保険収載とは別の制度ですので、事業計画の段階から、どの制度下での製品化を目指すか検討が必要です。
🗂️ 1. 定義・法規制・対象者の違い
治療用装具
補装具
📜 2. 利用者の手続きと費用負担
利用者が装具を手に入れる際の手続きと費用負担の仕組みは、全く異なります。
治療用装具の場合(療養費の償還払い)
利用者が一時的に費用を全額立て替え、後で払い戻しを受ける「償還払い」が原則です。
補装具の場合(補装具費支給制度)
原則として費用の1割を自己負担する仕組み(代理受領方式)が一般的です。
⚙️ 3. メーカー側の視点:製品が採用されるまで
治療用装具(既製品)の場合:
「リスト収載」を目指すオーダーメイド品だけでなく、一定の要件を満たす既製品も適用の対象となります。メーカーは、自社製品を厚生労働省が定めるリストに掲載させることを目指します。
補装具の場合:
「完成用部品」の指定を受ける補装具の価格は、国が定める基準額に基づいて計算されます。この基準額は、様々な「部品」の価格を積み上げて構成されており、メーカーは自社製品をこの公定価格リスト上の「完成用部品」として指定してもらう必要があります。
🔬 4. 医療機器の保険収載との違い
治療用装具や補装具の制度は、一般的な医療機器の保険収載とは根本的に異なります。
治療用装具や補装具は「福祉」や「療養」の枠組みで運用されるのに対し、医療機器は「診療」の枠組みで厳格な承認と価格決定プロセスを経るという大きな違いがあります。
その他参照URL:
@K.Kamitani
🗂️ 1. 定義・法規制・対象者の違い
治療用装具
- 定義・目的: 病気やケガの治療過程において、患部の固定や機能の代替などを目的に、一時的に使用される装具です。ギプスやコルセットなどが代表例です。
- 根拠法: 健康保険法に基づきます。
- 対象者: 病気やケガの治療中で、医師が治療上必要と認めた方。症状が固定(これ以上治療しても改善が見込めない状態)すると、原則として対象外となります。
補装具
- 定義・目的: 障害が固定した後、失われた身体機能を補い、日常生活や社会生活を容易にするために長期間使用されるものです。義手・義足、車いす、補聴器、歩行器などが含まれます。
- 根拠法: 障害者総合支援法に基づきます。
- 対象者: 身体障害者手帳を持つ方など、身体機能に永続的な障害があり、日常生活に支障がある方。
📜 2. 利用者の手続きと費用負担
利用者が装具を手に入れる際の手続きと費用負担の仕組みは、全く異なります。
治療用装具の場合(療養費の償還払い)
利用者が一時的に費用を全額立て替え、後で払い戻しを受ける「償還払い」が原則です。
- 医師の診断・処方: 医師が治療に必要と判断し、「装具作製指示書(意見書)」を作成します。
- 製作・購入: 利用者は義肢装具製作事業者で装具を製作し、費用を全額自己負担で支払います。
- 支給申請: 加入している健康保険(全国健康保険協会けんぽ、組合健保、市区町村の国民健康保険など)の窓口に、以下の書類を提出して申請します。
- 療養費支給申請書
- 医師の意見書・装着証明書
- 領収書
- 払い戻し: 審査後、自己負担分(原則1~3割)を除いた金額(7~9割)が指定口座に振り込まれます。
- 参照URL:
- 全国健康保険協会(協会けんぽ): 健康保険療養費支給申請書(立替払等、治療用装具) | 申請書 | 全国健康保険協会
補装具の場合(補装具費支給制度)
原則として費用の1割を自己負担する仕組み(代理受領方式)が一般的です。
- 相談・申請: 市区町村の障害福祉担当窓口に相談し、申請書と医師の意見書などを提出します。
- 判定: 身体障害者更生相談所などで、その補装具が本当に必要かどうかの判定を受けます。
- 支給決定・支給券交付: 支給が決定されると、市区町村から「補装具費支給決定通知書」と「補装具費支給券」が交付されます。
- 製作・受け取り: 利用者は、補装具費支給券を事業者に渡し、原則費用の1割を支払って補装具を受け取ります。(残りの9割は市区町村から事業者に直接支払われます。)
- 参照URL:
- 厚生労働省: 補装具費支給制度の概要
⚙️ 3. メーカー側の視点:製品が採用されるまで
治療用装具(既製品)の場合:
「リスト収載」を目指すオーダーメイド品だけでなく、一定の要件を満たす既製品も適用の対象となります。メーカーは、自社製品を厚生労働省が定めるリストに掲載させることを目指します。
- 申請: メーカーは、申請の窓口である日本義肢協会に対し、製品の有効性や安全性、価格の妥当性などを示す資料(調査票や提案書)を提出します。日本義肢協会は、その内容を整理・審査した上で、厚生労働省(保険局医療課)へ正式な提案書として提出します。
- 審査: 提案を受けた厚生労働省は、専門家で構成される「既製品装具のリスト収載検討ワーキンググループ」に検討を依頼します。ここでは、オーダーメイド品と同等の機能や効果があるかなどが審査されます。
- リスト収載: ワーキンググループでの審査で認められると、最終的に専門委員会での審議を経て、厚生労働省の通知によりリストに収載され、療養費の支給対象となります。
- 参照URL:
補装具の場合:
「完成用部品」の指定を受ける補装具の価格は、国が定める基準額に基づいて計算されます。この基準額は、様々な「部品」の価格を積み上げて構成されており、メーカーは自社製品をこの公定価格リスト上の「完成用部品」として指定してもらう必要があります。
- 申請窓口: 国立障害者リハビリテーションセンターが申請の窓口となります。
- 申請: 毎年定められた期間内(例年7月~9月頃)に、申請書や製品サンプル、臨床評価データなどを提出します。
- 評価・審査: 国立障害者リハビリテーションセンターで、製品の機能性、耐久性、価格の妥当性などが評価・審査されます。
- 指定・告示: 審査を通過すると、厚生労働省の告示によって「完成用部品」として指定され、補装具費支給制度の対象となります。これにより、全国の義肢装具製作事業者がその部品を使って補装具を製作できるようになります。
- 参照URL:
- 国立障害者リハビリテーションセンター: 完成用部品の指定に関する情報
🔬 4. 医療機器の保険収載との違い
治療用装具や補装具の制度は、一般的な医療機器の保険収載とは根本的に異なります。
治療用装具や補装具は「福祉」や「療養」の枠組みで運用されるのに対し、医療機器は「診療」の枠組みで厳格な承認と価格決定プロセスを経るという大きな違いがあります。
その他参照URL:
@K.Kamitani